スポンサーリンク
前回、いろいろな債券ETFを紹介してみましたが、ひとつ触れていない項目があります。それは新興国債券ETFです。
国内では1566という商品が販売されていますが、配当利回りが5-6%と高いので人気のある商品のようです。
ただし新興国債券への投資は新興国通貨への投資と同様にリスクが高いので、お勧めではないなというのが実感です。今回はこの話について記載してみたいと思います。
2018年の時点で実際に起きていることですが、一部の新興国の通貨が暴落してます。理由は簡単で米国が利上げしているからです。どういうことかというとリーマンショック後は米国は金融緩和政策をとってきました。
これにより米国の金利は低く、かつドルを大量に市場に供給しているという状態になります。市場にドルがあふれているということですね。よってドルは投資先を求めて先進国のみならず新興国へと大量に投資され新興国の経済発展に寄与してきました。
ところが米国は金融緩和政策を終了して、金融引き締めに転換しました。今度は逆に米国金利が上がって、ドルの供給量が減るということですね。そうするとドルは米国の金利が高いならそっちが安全だよねと言って米国に還流しだします。新興国から見るとドルが逃げていくわけですね。
ドルは逃げるし、米国金利が高いということはドルが他の通貨に対して強くなりますから、新興国の通貨は安くなります。さらに新興国はドルで借金をしてるので支払い利息が高くなって経済的にダメージが増えます。新興国にとっては踏んだり蹴ったりとなります。ドルの準備高が少ない国や、ドル建て債務の大きいところから順番にダメージを受けていきます。
前出の新興国通貨への投資は新興国通貨が安くなるということは、投資したお金が目減りします。いくら高い利息をもらったとしても、元本が毀損しますのでトータルでの利益にはなりません。これが高配当だからと言って新興国通貨への投資がリスクをはらんだものであるという理由です。
また新興国の債券でも同様のことが発生します。もともと債券は金利上昇相場では価格が下がる性質があります。新興国は自国通貨を防衛する上で金利を高くしていかなくてはならず、金利は上がって債券価格は低下するし、対ドルで通貨価値も下がってと、やはり踏んだり蹴ったりになる可能性が高いです。だから分配金利回りを得ても、ETF価格そのものがそれ以上に下がってしまう可能性があります。
余談ですがフラジャイル・ファイブという言葉があります。米金融引き締めで下落しやすいブラジル、インド、インドネシア、トルコ、南アの5か国の通貨のことです。近年ではこれが新フラジャイルファイブとして新たにトルコ、アルゼンチン、パキスタン、エジプト、カタールの5か国の通貨がより下落しやすいと懸念されてます。
ということで、このような新興国への通貨投資や債券投資はリスクが高いですので、あまりお勧めできませんと思ってます。
もちろん新興国株式への投資もリスクが高いですが、世界的に景気が良かった2017年などは、先進国よりも新興国のほうが成長しており、30%以上と大きく伸びてます。やはり株式は分散が大事だと思ってます。
分散を重視して、かつ高配当目的で新興国債券を買うとしても、国別などではなく新興国全体の債券に投資している投資信託やETFでないと、危なすぎると感じています。しかもリスク資産に対する比率を抑えて投資するべきでしょうね。
スポンサーリンク